OpenAIのCOBOL移行性能とは|GPT-6の評価結果と注意点
OpenAIが2026年10月19日に公開したレガシー言語のコーディング評価(MultiLangBenchとCOBOL移行評価)を速報でまとめました。GPT-6 Astra・GPT-6.1 SolのCOBOL成績など公式の数値、なぜ「バイト単位の一致」が重要か、実務での注意点を、編集部が確認できた範囲で整理します。

OpenAIは2026年10月19日(米国)、COBOLなどのレガシー言語でのコーディング性能を測る2つの評価を公開しました。新しいベンチマーク「MultiLangBench」と「COBOL移行評価」で、自社モデルGPT-6 Astra・GPT-6.1 Solが旧世代から大きくスコアを伸ばしたと報告しています。ただしこれらはOpenAI自身の評価であり、独立した第三者の検証ではありません。本番の移行には専門家のレビューが要る、とOpenAI自身が明記しています。
本記事は2026年10月20日(日本時間)時点の速報版です。OpenAIのページ自体は編集部の環境からは取得できなかったため、GitHubの公式リポジトリと複数の独立報道で数値を突き合わせて確認し、確認できた範囲だけをまとめています。実地検証や第三者ベンチマーク、公式の続報が入りしだい更新します。
何が発表されたか
公開ページ「Advancing coding in low-resource programming languages」(2026年10月19日付)で示されたのは、次の2つの評価です。
- MultiLangBench:20種類のプログラミング言語で、SQLite互換のデータベースエンジンをゼロから実装させ、テストの合格率を測る。評価用コードは公式のGitHubリポジトリ(新しいウィンドウで開く)で公開されています(READMEでは、評価には「00・01・02」で始まる272件のテストだけを使うよう案内。元の51,000件のTCLテストのうち24,000件を変換したと記載)。
- COBOL移行評価:既存のCOBOLプログラムをC++・Java・Kotlin・Python・Rustへ移行させ、隠しテストで観測できる出力がバイト単位で一致するかを確認する。すべてのテストに合格したときだけ成功とみなす、厳しい判定です。
結果(公式の数値)
次の数値はすべてOpenAI自身の評価で、第三者による測定ではありません。MultiLangBenchでは、GPT-6 Astraが20言語平均で87.4%(最大推論努力)に達し、旧世代のGPT-5.6 Solの**26.8%**から大きく伸びたとしています。COBOLが最も難しく約72%でしたが、他の主な低リソース言語は83〜89%台まで改善したと報告されています。
| 言語(MultiLangBench) | GPT-5.6 Sol | GPT-6 Astra |
|---|---|---|
| 20言語の平均 | 26.8% | 87.4% |
| COBOL | 10.9% | 72.1% |
| OCaml | 25.6% | 85.8% |
| Fortran | 21.4% | 83.5% |
| Visual Basic | 27.5% | 89.4% |
COBOL移行評価では、GPT-6.1 Solが低い推論努力で86.6%(GPT-5.6 Solは5.4%)、しかもAPIコストは約39%少なかったとされ、推論努力を上げると97.9%(飽和に近い)に達したと報告されています。コスト面では、軽量モデルGPT-6 LunaがMultiLangBench平均40.3%(最大推論努力)で、1サンプルあたりのAPI推定コストは$0.77と、GPT-5.6 Solの$3.48より約78%低いとしています。
なぜ「バイト単位の一致」が大事か
移行の判定が「バイト単位で一致」と厳しいのには理由があります。OpenAI自身も例として、COBOLの固定小数点の計算は、丸めを指定しない限り余分な小数桁を切り捨てる点を挙げています。お金の計算では、この切り捨てと丸めの違いがそのまま金額の差になります。
編集部も手元で確かめました(GnuCOBOL 3.2.0・Python 3)。「2 ÷ 3」を小数第2位まで求めると、計算方法で結果が変わります。
| 計算方法(2 ÷ 3 を小数第2位まで) | 結果 |
|---|---|
| COBOL 既定のCOMPUTE(切り捨て) | 0.66 |
| COBOL COMPUTE ROUNDED(丸め) | 0.67 |
| Python round(2/3, 2)(素直な移植) | 0.67 |
| Python Decimalで切り捨て(ROUND_DOWN) | 0.66 |
元のCOBOLは0.66ですが、Pythonへ素直にroundで書き換えると0.67になり、最小単位で1つずれます。切り捨てをわざわざ再現して初めて0.66で一致します。テストが通ること(=動くこと)と、元の値を正確に保つこと(=バイト単位で一致すること)は別物だ、という具体例です。
実務で使うときの注意
OpenAIは、これらの数値はあくまで評価上のもので、本番の移行には専門家のレビューと、システムの業務ルールや依存関係に対するテストが必要だと明記しています。発表では、COBOLが社会インフラで広く使われている例として外部の推計も引用されています(オンラインバンキングの約40%、対面のカード取引の約80%、ATM取引の約95%)。これはOpenAI自身の測定ではなく、第三者の推計の引用です。
スコアの高さは「移行がそのまま任せられる」ことを意味しません。切り捨てと丸めのような小さな差が、金融処理では重大な不一致になります。採用するなら、観測できる出力の突き合わせ(バイト単位)、業務ルールのテスト、そして人のレビューを前提にするのが安全です。料金の考え方はClaude Codeの料金と実測コスト、最近のモデル動向はMiniMax M3.1 Flashもあわせてご覧ください。
未確認の点
速報時点で、次の各点は確認できていません。断定を避け、確認できしだい更新します。
- 独立した第三者ベンチマーク:公表値はすべてOpenAI自身の評価で、独立検証は確認できていません。
- 日本のメインフレーム特有の事情:勘定系で使われるCOBOLの方言や、全角・漢字データの扱いが評価に含まれるかは不明です。
- 実プロジェクトでの結果:実際の移行案件での成功率・工数・費用の実測は確認できていません。
- 評価設計の細部:MultiLangBenchはREADMEで272件のテストを使うよう案内していますが、COBOL移行評価の件数などの詳細は未確認です。
- モデルの提供状況と料金:GPT-6 Astra・GPT-6.1 Sol・GPT-6 Lunaの一般提供や正式な料金は、本日公式ページで確認できていません。
- GPT-6 Lunaの言語別スコア:平均値とコスト以外の言語別内訳は本記事では確認できた範囲に含めていません。
よくある質問
Q. OpenAIは何を発表したのですか?
2026年10月19日に、レガシー言語でのコーディング性能を測る2つの評価を公開しました。20言語でSQLite互換エンジンを実装させるMultiLangBenchと、COBOLを他言語へ移行させるCOBOL移行評価です。いずれもOpenAI自身の評価です。
Q. GPT-6のCOBOL移行の成績はどれくらいですか?
MultiLangBenchのCOBOLでは、GPT-6 Astraが72.1%(GPT-5.6 Solは10.9%)でした。COBOL移行評価では、GPT-6.1 Solが低い推論努力で86.6%(GPT-5.6 Solは5.4%)、推論努力を上げると97.9%と報告されています。すべてOpenAI自身の評価です。
Q. この結果はそのまま実務に使えますか?
OpenAI自身が、本番の移行には専門家のレビューと、業務ルールや依存関係に対するテストが必要だと明記しています。スコアの高さは移行をそのまま任せられることを意味しません。人による確認を前提にするのが安全です。
Q. なぜCOBOLの移行で「バイト単位の一致」が問題になるのですか?
COBOLの固定小数点の計算は、丸めを指定しない限り余分な小数桁を切り捨てます。移植先で素直に丸めると金額がずれることがあり、動いても元の値と一致しない場合があるためです。編集部の手元でも、2÷3の計算で切り捨ては0.66、丸めは0.67と差が出ました。
参考にした情報
本記事はOpenAIの公式発表と、編集部が取得・確認できた一次情報に基づきます。数値や仕様は変わることがあるため、最新情報は公式で確認してください。確認日は2026年10月20日(日本時間)です。


