不動産会社のChatGPT活用|6つの業務を実際に試した結果
不動産会社がChatGPTをどう使えるかを、物件コメント、反響への返信、入居者へのお知らせ、故障連絡への返信、家賃相場、広告ルールの6業務で試しました。依頼文と出力をそのまま載せ、表示規約と宅建業法で確かめた結果と注意点をまとめます。

不動産会社のChatGPT活用とは、物件のおすすめコメントや問い合わせへの返信などの下書きをAIに作らせ、宅建業法と広告のルールに照らして人が確かめてから使うことです。編集部が架空の物件で6つの業務を試したところ、文章の下書きは1回6〜13秒で返り、手直しに使える内容でした。ただし、頼み方が素朴だと、広告に必要な「徒歩○分」を3回とも書きませんでした。今の家賃相場も、AIだけでは確かめられません。
ChatGPTとは、OpenAIという米国の会社が提供する、文章で頼むと文章で答えを返すAIのサービスです。業種を問わない基本の使い方は、ChatGPTは仕事で何ができる?経営者が最初に試す5つの業務で説明しています。本記事は、その不動産会社版です。
結論:AIに任せられること・人が確かめること
先に結論を表にまとめます。どれも、編集部が2026年10月22日に実際に試した結果にもとづいています。
| 業務 | AIに任せられること | 人が確かめること |
|---|---|---|
| 物件のおすすめコメント | 物件の情報から、200字ほどの紹介文を作る | 徒歩分数の計算、根拠のいる言葉、書いてある設備が本当にあるか |
| 反響(問い合わせ)への返信 | 失礼のない返信文を作る | 本当に空いているか。空室を確かめてから送る |
| 入居者へのお知らせ | 工事・断水などの案内文を作る | 日時・連絡先、記号の消し忘れ |
| 入居者からの故障連絡への返信 | おわびと、確認したいことをまとめた返信を作る | 約束してよい日時か、費用の話をしていないか |
| 家賃相場の下調べ | 検索した結果を、出典つきでまとめる | 出典を自分で開く。自社の成約や募集の情報と比べる |
| 広告や重要事項説明のルールの下調べ | 決まりの要点と根拠の条文を挙げる | 条文の原文で確かめる。迷ったら協議会・専門家へ |
一方で、AIに任せてはいけないこともあります。重要事項の説明、広告を出すかどうかの判断、お客様や入居者の個人情報の入力です。詳しくは後の「AIに任せてはいけないこと」で説明します。
まず今日やること(15分)
最初の一歩は、1つだけで十分です。
- いま募集中の物件を1件選びます。すでに広告に出している情報だけを使います。部屋番号、オーナーや入居者の名前は入れません。
- ChatGPTに、次の依頼文を貼ります。〈 〉の部分は、物件の情報に置き換えます。
- 返ってきたコメントの「徒歩○分」を、自分で計算し直します。道路距離を80で割り、端数は切り上げます。
- 「最高」「格安」などの言葉や、物件にない設備が入っていないかを読みます。
次の物件の、賃貸ポータルサイトに載せるおすすめコメントを200字くらいで書いてください。
守ってほしいこと:
・物件の情報に書いていない設備・距離・周りの環境は書かない
・「最高」「格安」「完全」「抜群」「厳選」など、根拠が必要な言葉は使わない
・駅とスーパーまでの徒歩の分数は、道路距離80mを1分として計算し、1分未満は切り上げて書く
---(物件の情報)---
〈間取り・広さ・賃料・駅までの道路距離・築年月・階・設備〉
ChatGPTにサインインできれば、ほかの準備はいりません。でき上がったコメントは、いつもどおりの社内チェックを通してから使います。
試した方法(どうやって確かめたか)
本記事の答えはすべて、編集部が自分の環境で実際に出したものです。条件は次のとおりです。
- 日付:2026年10月22日(日本時間14時48分〜15時08分)
- 使った道具:Codex CLI 0.163.0。OpenAIが提供する、パソコンの文字だけの画面から使うAIの道具です。ChatGPTのアカウントでサインインして使いました。
- モデル(AIの頭脳にあたる部分):指定なし。実行記録に残ったモデル名は、全26回とも
gpt-6.1-solでした。 - 依頼の仕方:6つの業務を、同じ依頼文で2〜3回ずつ頼みました。物件コメントと反響への返信は、依頼文を良くする前と後で比べています。下調べは、Web検索ができる設定と、できない設定で比べました。合計26回です。
- 入力した情報:物件「サンプルハイツ」、駅「みどり台駅」、会社「テスト不動産」などは、この検証のために作った架空のものです。実在の物件・会社・人ではなく、事例でもありません。家賃相場の質問だけは、実在の駅名を使いました。
ChatGPTの画面ではない点に注意してください。 答えるのは同じOpenAIのモデルですが、画面や設定が違うため、ChatGPTの画面で同じ答えになるとは限りません。
答えの確かめには、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)と、不動産の表示に関する公正競争規約(以下、表示規約)の原文を使いました。表示規約とは、不動産の広告の書き方について、業界が定めて国が認めたルールです。どちらも2026年10月22日に公式サイトから取り直しています。
物件のおすすめコメント(表示規約で確かめた)
架空の1LDKのコメントを頼みました。駅までは道路距離650mです。表示規約の決まりで計算すると「徒歩9分」になります(計算は後の図で説明します)。
次の物件の、賃貸ポータルサイトに載せるおすすめコメントを200字くらいで書いてください。
---(物件の情報)---
物件:サンプルハイツ 203号室
間取り:1LDK(38.5㎡)
賃料:月8万9千円、管理費5千円
交通:みどり台駅まで道路距離650m
築年月:2017年3月(築9年)
階:2階建ての2階、南向きのバルコニー
設備:エアコン1台、独立洗面台、宅配ボックス、浴室乾燥機
近くの施設:スーパーまで道路距離300m
3回目の答えです(7.18秒)。
サンプルハイツ203号室は、38.5㎡の1LDK。2階建ての最上階に位置し、南向きのバルコニーを備えたお部屋です。エアコン1台、独立洗面台に加え、雨の日の洗濯に便利な浴室乾燥機も完備。不在時の荷物の受け取りに役立つ宅配ボックスもあります。みどり台駅まで道路距離650m、スーパーまで道路距離300mで、通勤や日々のお買い物にも便利な立地。賃料は月8万9千円、管理費は月5千円です。
読みやすい文章です。ただ、表示規約と突き合わせると、直す点がありました。
| 確かめた点 | 3回の結果 | 直し方 |
|---|---|---|
| 「徒歩○分」を書いたか | 3回とも書かず、「道路距離650m」のまま | 自分で計算して「徒歩9分」と書く |
| 「最高」「格安」など根拠のいる言葉 | 3回とも使わなかった | − |
| 物件にない設備 | 3回とも書かなかった | − |
| 気になる言い回し | 3回目に「通勤や日々のお買い物にも便利な立地」 | 「通勤」は入力にない。便利かどうかは読む人が決める |
表示規約の施行規則は、徒歩の時間を次のように定めています。
徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則 第9条第9号)
依頼文に「守ってほしいこと」を足すと
同じ物件で、依頼文に3つの条件を足しました。「まず今日やること」で紹介した依頼文と同じものです。1回目の答えです(6.60秒)。
サンプルハイツ203号室は、38.5㎡の1LDK。2階建ての2階に位置し、南向きのバルコニーを備えています。みどり台駅まで徒歩9分、スーパーまで徒歩4分。エアコン1台、独立洗面台に加え、雨の日の洗濯に役立つ浴室乾燥機、不在時の荷物の受け取りに便利な宅配ボックスも備えています。2017年3月築、賃料は月8万9千円、管理費は月5千円。居室とリビングを分けて使いたい方におすすめです。
3回とも「駅まで徒歩9分、スーパーまで徒歩4分」と、正しく計算しました。 根拠のいる言葉や、物件にない設備もありませんでした。
ここからわかるのは、AIは頼まれたことしか気にしないということです。広告のルールを知っている人が条件を書けば、答えはぐっと良くなります。それでも、出す前の確認は人が行います。依頼文の書き方のコツは、生成AIへの指示の出し方にまとめています。
反響(問い合わせ)への返信
ポータルサイト経由で届いた、架空の問い合わせへの返信を頼みました。まずは、空室の状況を何も伝えずに頼んでいます。
ポータルサイト経由で、次の問い合わせが届きました。返信のメールを書いてください。
---(問い合わせ)---
サンプルハイツ203号室を見て連絡しました。まだ空いていますか?今週の土曜日の午前中に内見したいです。
1回目の答えです(7.20秒)。
件名:サンプルハイツ203号室のお問い合わせについて
〇〇様
このたびは、サンプルハイツ203号室にお問い合わせいただき、ありがとうございます。
空室状況と、今週土曜日の午前中にご内見いただけるかを確認のうえ、改めてご連絡いたします。
午前中の中でもご希望のお時間がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
[会社名]
[担当者名]
[電話番号]
3回とも「空いています」とは書きませんでした。 知らないことを約束しなかった点は良い結果です。ただ、この返事は「確認します」だけで、お客様の役には立ちません。空室を確かめてから、その結果を書き足して送ります。
もう1つ大事な点があります。成約済みや申込みの入った物件の広告を出したままにすると、おとり広告になるおそれがあります。表示規約は、おとり広告の1つとして「物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示」を挙げています(第21条)。返信の文面より先に、掲載の情報が今も正しいかを確かめてください。
当社の状況を伝えると
次に、「昨日申込みが入り、いまは審査中」「近い条件の2件なら土曜の午前に案内できる」という状況を足して頼みました。2回目の答えです(7.57秒)。
件名:サンプルハイツ203号室のお問い合わせについて
お問い合わせいただき、ありがとうございます。
サンプルハイツ203号室は、昨日ほかのお客様から入居のお申込みが入り、現在審査中です。審査の結果によってはご案内できる可能性がございますが、現時点では土曜日の内見を確約できない状況です。
なお、同じ駅で条件の近い1LDKが2件あり、こちらは今週土曜日の午前中にご案内できます。よろしければ、物件の詳細をお送りいたします。
あわせて、土曜日の午前中でご希望のお時間をお知らせいただけますでしょうか。
どうぞよろしくお願いいたします。
3回とも、申込みが入っていることをそのまま伝えました。代わりの2件の中身を、AIが勝手に作ることもありませんでした。宛名と署名がないので、人が足します。
入居者へのお知らせ(断水の案内)
給水管工事による断水を、入居者全員に知らせる文書を頼みました。
賃貸マンションの入居者全員に配る、給水管工事による断水のお知らせを書いてください。
・建物:サンプルハイツ(全12戸)
・工事日:11月18日(水)9時〜15時。このうち断水するのは10時〜12時の約2時間
・雨でも工事は行う
・断水の前に、飲み水やトイレ用の水を用意してほしい
・問い合わせ先:テスト不動産 管理部(電話番号はあとで入れる)
3回目の答えです(9.69秒)。
サンプルハイツ ご入居者各位
給水管工事に伴う断水のお知らせ
平素より建物の管理にご理解とご協力をいただき、ありがとうございます。
このたび、サンプルハイツにて給水管工事を実施いたします。工事に伴い、下記の時間帯は全12戸で断水となります。
- 工事日時:11月18日(水)9時〜15時
- 断水時間:同日10時〜12時(約2時間)
- 対象:サンプルハイツ 全12戸
- 雨天の場合も工事を実施いたします。
断水中は水道をご使用いただけません。断水が始まる前に、飲み水やトイレ用の水など、必要な水をあらかじめご用意ください。
ご入居者の皆さまにはご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力をお願いいたします。
お問い合わせ先:テスト不動産 管理部
電話:__________
表示の都合で、太字の記号は太字に置き換えています。文言は出力のままです。
よかった点:3回とも、日時・断水の時間・雨の日も行うこと・水の用意が正しく入りました。入力にない注意事項を作ることもありませんでした。
人が直す点:実際の出力には「**」や「#」といった記号が付いています。Wordなどに貼ると記号がそのまま残るので消します。1回は、入力にない「2026年」を自分で補っていました。年や曜日は、配る前にカレンダーで確かめます。
入居者からの故障連絡への最初の返信
「エアコンが動かず、暖房がつかない」という架空の連絡に、管理会社としての最初の返信を頼みました。
入居者から次の連絡がありました。管理会社として、最初の返信を書いてください。
---(入居者からの連絡)---
サンプルハイツ203号室の者です。昨日からエアコンが動きません。リモコンの電池は替えました。暖房がつかず寒くて困っています。いつ直してもらえますか?
2回目の答えの後半です(10.32秒)。前半のおわびの部分は省略しました。
修理業者の手配と訪問可能日時を至急確認いたします。修理完了の時期は故障の状況や部品の有無によるため、現時点ではお約束できませんが、まずは本日中に手配状況をご連絡いたします。
お手数ですが、次の点をお知らせいただけますでしょうか。
・本体のランプの点灯・点滅や、エラー表示の有無
・エアコンのメーカー・型番(分かる範囲で結構です)
・訪問対応が可能な日時と、日中のご連絡先焦げ臭いにおいや異音がある場合は、使用を中止してください。暖房が使えない間の対応についても、あわせて確認いたします。
よかった点:3回とも、修理の日は約束しませんでした。修理代をだれが払うかにも触れていません。費用の負担は契約によって変わるため、この段階で書かないのは妥当です。
人が直す点:この回は「本日中に手配状況をご連絡いたします」と約束していました。自社が本当に守れる約束かを確かめます。「焦げ臭いにおいや異音」の注意は、AIが自分で足したものです。内容が自社の案内と合っているかを見ます。
家賃相場の下調べ(AIは今の相場を知らない)
数字の質問は、AIが誤りやすい分野です。実在の駅で、家賃相場を聞きました。
東京都杉並区の阿佐ケ谷駅から徒歩10分以内、1LDKの賃貸の家賃相場は、今いくらくらいですか?
Web検索ができる設定では、2回ともポータルサイトを検索し、出典つきで答えました。2回目の答えの冒頭です(15.31秒)。出典のリンクは省略しました。
月18万〜19万円程度(管理費・共益費別)が、今の目安です。2026年10月22日時点で確認したLIFULL HOME’Sでは、ご希望と同じ「阿佐ケ谷駅から徒歩10分以内」の1LDKの相場は18.59万円でした。
編集部は、この数字を確かめられませんでした。AIが挙げた3つのポータルサイトを同じ日(2026年10月22日)に編集部の検証環境から開こうとしたところ、どれもHTTP 503が返り、ページを表示できませんでした。ふだんのブラウザーで見られるかどうかは確かめていません。また、2回とも借りる人の予算の目安として答えています。不動産会社が賃料を決めるための答えではありません。
Web検索ができない設定では、こう答えました。1回目の答えです(19.08秒)。
阿佐ケ谷駅から徒歩10分以内の1LDKは、**月14万〜18万円前後(管理費・共益費別)**を、物件探しの大まかな予算目安にするとよいと思います。
(中略)
ただし、この環境では最新の募集情報にアクセスできず、2026年10月現在の相場として確認できた数字ではありません。上記は参考目安で、面積や築年数によって差があります。
2回とも、出典のない金額の幅を出しました。 「確認できた数字ではない」と断ってはいますが、数字だけを見れば本物の相場のように読めます。検索ありの答え(18.59万円)とも食い違っています。
ここからわかるのは、2つです。
- AIは、今の地域の家賃相場を自分では知りません。 検索した場合も、ポータルの数字を読んでまとめているだけです。
- 賃料の提案は、自社の成約や募集の情報と、出典のページを自分で見て決めます。AIの数字をオーナーへの説明にそのまま使わないでください。
広告と重要事項説明のルールを聞いてみた
最後に、ルールそのものを聞きました。答えを条文の原文と突き合わせられる質問です。
不動産の広告で「駅から徒歩○分」と書くときの決まりを教えてください。また、賃貸の契約の前にする重要事項の説明は、だれがしなければいけませんか?根拠も教えてください。
結果は4回とも、要点が原文と合っていました。
| 確かめた点 | Web検索あり(2回) | 検索なし(2回) | 原文 |
|---|---|---|---|
| 徒歩は道路距離80mで1分、端数は切り上げ | 2回とも正しい | 2回とも正しい | 施行規則 第9条第9号と一致 |
| 重要事項の説明は宅地建物取引士が行う | 2回とも正しい | 2回とも正しい | 宅建業法 第35条第1項と一致 |
| 説明のときに取引士証を見せる | 2回とも挙げた | 2回とも挙げた | 同 第35条第4項と一致 |
ただし、原文にない説明も混じっていました。検索なしの2回は「信号待ちなどは計算に含めない」と書いています。これは表示規約の条文にはない言い方です。また、4回とも「大家さんが直接貸す場合は対象外」と書いていました。今回は、この点を条文で確かめていません。
検索なしの2回は、答えの最後で、原文とは照合できていないと断っていました。正しい答えでも、広告や契約に使う前に、原文で確かめるのが基本です。迷うときは、所属する不動産公正取引協議会や専門家に確認してください。
AIに任せてはいけないこと
6つの業務を試して見えた、AIに任せてはいけないことをまとめます。条文は、2026年10月22日にe-Gov法令検索などで確かめた原文から引用しています。法律の解釈ではなく、条文の紹介にとどめます。
重要事項の説明(宅建業法35条)
重要事項の説明は、宅地建物取引士の仕事です。宅建業法35条は、宅建業者に、契約が成立するまでの間に「宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(中略)を交付して説明をさせなければならない」と定めています。AIに手伝わせるとしても、用語の説明の下書きまでです。説明書の中身は、物件の調査にもとづいて人が作ります。
広告の表現(宅建業法32条・表示規約)
宅建業法32条は、広告で「著しく事実に相違する表示」や「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」を禁じています。表示規約の第18条第2項は、「最高」「格安」「完全」「抜群」「厳選」などの言葉を、裏付ける合理的な根拠の資料がなければ使えないとしています。AIが書いた広告文も、出すのは自社の広告です。 いつもの広告チェックを必ず通します。
お客様・入居者の情報(宅建業法45条・個人情報保護法)
宅建業法45条は、宅建業者は「正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない」と定めています。個人情報保護委員会も、生成AIサービスへの入力について注意を呼びかけています(2023年6月2日)。本人の同意なく個人データを入力し、それが答えを出す以外の目的で使われると、「個人情報保護法の規定に違反することとなる可能性がある」としています。
お客様や入居者の名前、電話番号、部屋番号と結びつく相談内容は入れないでください。必要なときは「Aさん」「〇〇号室」のように置き換えます。AIに入力した内容を学習に使わせない設定は、ChatGPTの情報漏洩対策(学習オフの設定手順)で説明しています。
お客様への事実の説明(宅建業法47条)
宅建業法47条は、取引の判断に重要な影響を及ぼす事項について「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」を禁じています。今回のAIは、空室や修理の日を勝手に約束しませんでした。ただ、いつもそうなるとは限りません。お客様に伝える事実は、人が確かめてから書きます。
社員にAIを使わせる場合は、何を入れてよいかを先に決めておくと安心です。決め方は、社内AI利用ルールの作り方にまとめています。
ほかに使える業務(今回は試していません)
次の業務も、同じ考え方で下書きに使えます。ただし、今回の検証では試していないため、結果は書いていません。
- 内見の日程調整:候補日をいくつか渡して、お客様への連絡文を作らせる。空いている日時は人が確かめる。
- オーナー向けの報告やお便り:空室の状況や工事の予定を渡して、読みやすい文に整えさせる。数字は人が確かめる。
- SNSへの投稿文:物件コメントと同じく、徒歩分数と根拠のいる言葉を確かめる。
- 社員の研修:お客様役をAIに頼み、問い合わせ対応の練習相手にする。答え方の正しさは先輩が確かめる。
次に読む記事
- 業種を問わない基本:ChatGPTは仕事で何ができる?
- 入れてはいけない情報と学習オフ:ChatGPTの情報漏洩対策
- 社員に使わせる前のルール:社内AI利用ルールの作り方
- 依頼文の書き方:生成AIへの指示の出し方(プロンプトとは、AIへの指示文のことです)
自社のどの業務から始めるかを整理したい方は、AI導入診断(無料・約3分)をお使いください。
よくある質問
Q. 不動産会社はChatGPTを何に使えますか?
文章の下書きに使えます。編集部の検証では、物件のおすすめコメント、問い合わせへの返信、入居者へのお知らせ、故障連絡への最初の返信を、1回6〜13秒で作りました。最後に読んで確かめ、送るかどうかを決めるのは人です。
Q. AIが書いた物件コメントは、そのまま広告に使えますか?
そのまま使わないでください。素朴に頼んだ検証では、3回とも「徒歩○分」を書かず、道路距離のままでした。徒歩分数は道路距離80mを1分とし、端数を切り上げて人が計算します。根拠のいる言葉や、物件にない設備が入っていないかも確かめます。
Q. お客様や入居者の情報を入れてもよいですか?
名前、電話番号、部屋番号と結びつく相談内容などは入れないでください。宅建業法45条は業務上知った秘密を漏らすことを禁じており、個人情報保護委員会も生成AIへの個人情報の入力に注意を呼びかけています。必要なときは記号に置き換えます。
Q. 重要事項説明書をAIに作らせてもよいですか?
重要事項の説明は、宅建業法35条により宅地建物取引士が書面を交付して行います。AIに手伝わせるのは用語の説明の下書きまでにとどめ、説明書の中身は物件の調査にもとづいて人が作ります。詳しくは専門家に確認してください。
Q. AIは家賃相場を正しく答えられますか?
AIは今の地域の家賃相場を自分では知りません。検索できない設定では、出典のない金額の幅を答えました。検索した場合もポータルの数字をまとめているだけです。賃料は、自社の成約や募集の情報と出典のページを見て決めます。
Q. この記事の答えはChatGPTの画面で出したものですか?
いいえ。ChatGPTのアカウントでサインインしたCodex CLIという、OpenAIの道具で出した答えです。答えるのはOpenAIのモデルですが、画面や設定が違うため、ChatGPTの画面で同じ答えになるとは限りません。
参考にした公式情報
条文と決まりは、次の公式情報の原文で確認しました(いずれも2026年10月22日に取得)。
検証データについて
実行に使ったスクリプトは scripts/experiments/realestate-runs.mjs です。全26回の依頼文、出力の全文、所要時間、モデル名、編集部が原文と突き合わせた結果は data/experiments/2026-10-22-realestate-runs.json に収録しています。出力に誤りがあった場合も、手を加えずに掲載する方針です。


