生成AI研修に人材開発支援助成金は使える?対象と対象外の線引き
著者:AIみちしるべ編集部(株式会社SANVIA) ・ 公開日: ・ 更新日:
生成AI研修に人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)を使えるのは、事業展開やDX化などの計画に基づく職務のための訓練で、実訓練時間が10時間以上あるなどの要件を満たす場合です。令和8年8月3日からは、営業担当者が商品提案書の作成を生成AIで学ぶような業務直結の訓練は対象とされ、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶだけの訓練は対象外とされています。
本記事は2026年10月15日時点の公式情報に基づきます。最新情報は公式サイトで確認してください。実際の可否は管轄の労働局への確認が必要です。
事業展開等リスキリング支援コースとはどんな助成金か
厚生労働省の人材開発支援助成金のうち、事業展開等リスキリング支援コースは、事業展開、DX・GX化、人事・人材育成計画に基づく職務のための訓練を対象とするコースです。令和4年度から令和8年度までの期間限定のコースとされています。
生成AI研修がこのコースの対象になるかどうかは、「研修の名前」ではなく、「会社の事業展開や業務の変化に結びついた訓練か」で判断されます。
助成率はどのくらいか
パンフレットの表では、助成率は次のとおりです。
| 区分 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成 | 75% | 60% |
| 賃金助成(1時間あたり) | 1,000円 | 500円 |
経費助成は研修費用に対する助成、賃金助成は訓練時間中の賃金に対する助成です。実際に支給される額は、対象になる訓練時間や経費の範囲で決まるため、見込み額は労働局や公式の支給要領で確認してください。
生成AI研修が対象になる条件のチェックリスト
公式情報で確認できた要件の例を、チェックリストにしました。
- 雇用保険適用事業所の事業主である
- 実訓練時間が10時間以上のOFF-JT(職場外での訓練)である(定額制のサブスク型訓練も対象)
- 「事業展開等実施計画」を作成している
- 訓練開始日の6か月前から1か月前までに、計画届を提出する
- 訓練期間中も賃金を適正に支払う
- 支給申請日までに、訓練経費を全額支払っている
- 訓練終了日の翌日から2か月以内に、支給申請をする
- 同一労働者の受講回数が年度3回までである(eラーニングは年度1回まで)
特に見落としやすいのは、計画届の提出期間です。訓練開始日の1か月前を過ぎると提出できなくなるため、研修会社が決まってから慌てて準備するのではなく、研修の相談と同時に計画届のスケジュールを逆算してください。
対象になる研修と対象外の研修の違い
令和8年8月3日からの変更として、公式資料に次の例が示されています。
| 区分 | 内容の例 |
|---|---|
| 対象 | 生成AIで、商品提案書の構成案の作成・文章生成・修正を学ぶ営業担当者向けの訓練(業務に直結するため) |
| 対象外 | 汎用的なプロンプトの作り方を学ぶだけの訓練 |
ここから読み取れる判断の軸は、「受講者の具体的な職務に直結しているか」です。同じ生成AI研修でも、次のように設計を変えると位置づけが変わる可能性があります。
- 対象外になりやすい設計:「ChatGPTの使い方入門」「プロンプトの書き方講座」のように、職務を特定しない
- 対象になりやすい設計:「営業担当者が、自社商品の提案書を生成AIで作成・修正する」のように、職務と成果物が特定されている
ただし、これはあくまで公式資料の例から読み取れる傾向であり、個別の研修が対象になるかを保証するものではありません。判断は労働局が行うため、研修カリキュラムを固めた段階で、必ず確認してください。
研修を設計するときの手順
そのまま使える手順です。
- 研修の対象にする職務を決める(例:営業、総務、経理など1つ)
- その職務で、生成AIを使って行う具体的な作業を3つ以内に絞る
- 作業ごとに「成果物」を決める(提案書、見積書の文面、議事録など)
- 事業展開やDXの計画として、なぜその研修が必要かを文章にする(事業展開等実施計画のもとになります)
- 実訓練時間が10時間以上になるカリキュラムか確認する
- 訓練開始日の1か月前までに計画届が出せる日程か確認する
- 管轄の労働局に、カリキュラムが対象になるかを事前に相談する
手順4の文章は、次の文例が出発点になります。
当社は、(事業の変化や課題:例)見積・提案の対応件数が増え、作成業務の標準化が必要になっている。
このため、営業担当者を対象に、生成AIを用いた提案書の構成案作成・文章生成・修正の訓練を実施し、
提案業務の進め方を見直す。訓練は(時間数)時間、(期間)に実施する。
括弧内は自社の実情に置き換えてください。実在しない数字や効果を書かないことが大切です。
研修前に決めておきたい社内ルール
研修で生成AIを使う場合、受講者が実際の顧客情報を入力してしまうおそれがあります。研修の前に、入力してよい情報と禁止する情報を決めておくと安心です。ルールの項目は社内AI利用ルールの作り方に、ChatGPTの学習設定はChatGPTの情報漏洩対策にまとめています。
また、研修を実施しても業務で使われなければ意味がありません。研修後に使う業務を決めて試す進め方は、AI導入で最初にやるべき5つのステップが参考になります。研修の前に、自社でどの業務に生成AIを使えそうか整理したい場合は、AI導入診断も使えます。
補助金と助成金を併用したいとき
ITツールの導入費用には、別制度の補助金があります。ツール導入と研修を同時に検討している場合は、制度ごとに対象、期限、手続きが異なります。ツール側の制度はデジタル化・AI導入補助金2026の締切・補助率・申請の流れで整理しています。同じ費用を二重に申請できるかどうかは、各制度の公式な規定と窓口で確認してください。
よくある質問
Q. 生成AIの研修なら、どんな内容でも助成金の対象になりますか?
なりません。公式資料では、生成AIで商品提案書の構成案作成・文章生成・修正を学ぶ営業担当者向けの訓練は業務に直結するため対象とされる一方、汎用的なプロンプトの作り方を学ぶだけの訓練は対象外とされています。職務に結びついた内容かどうかが判断の軸になります。
Q. 研修は何時間以上必要ですか?
実訓練時間が10時間以上のOFF-JTであることが要件の例として示されています。定額制のサブスク型訓練も対象とされています。また、同一労働者の受講回数は年度3回まで、eラーニングは年度1回までです。
Q. 計画届はいつまでに出せばよいですか?
訓練開始日の6か月前から1か月前までに提出します。訓練開始日の1か月前を過ぎると提出できないため、研修会社を決める段階から日程を逆算してください。訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請を行う必要もあります。
Q. 助成率はどのくらいですか?
パンフレットの表では、経費助成は75%(大企業は60%)、賃金助成は1時間あたり1,000円(大企業は500円)です。実際の支給額は対象となる訓練時間や経費で変わるため、詳細は管轄の労働局に確認してください。
参考にした公式情報
本記事は2026年10月15日時点の公式情報に基づきます。最新情報は公式サイトで確認してください。
自社の場合どうなるか整理したい方へ
どの職務で生成AIを使う研修にするか、研修の前に何を決めておくべきかを整理したい方は、30分の無料相談で一緒に確認できます。助成金の可否そのものは労働局への確認が必要です。
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